005.箱庭が壊れた日 #001
テレビやラジオへの出演、雑誌の取材、詰め込まれるスケジュールに急き立てられながら毎日を過ごす。
“Liaison”のべーシストとして求められるものが多くなるにつれ、理想化された“リカ”の存在は俺を苦しめるようになった。
パブリックイメージを守る為の制約は増え、厳しさを増す。
曲作りにしても、ハイペースで要求されるのは““Liaison”らしさから外れることなく商業的に望まれる音”。
“かくあるべし”とがんじがらめにする鎖を引きちぎるには力が足りない。
こんなのは俺じゃないともがきながらもどうすることもできず、与えられた役割をただこなして行く。
それはメンバー全員同じことで、やり場のない怒りや不満は閉鎖的な人間関係の内で跳弾となり、お互いに或いは自分をも無差別に傷付けた。
その中で唯一理性的に、調停役に徹していた冬哉に致命傷を与えたのは俺だ。
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